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大変なことだけど、まずはなんとか勝負を引っ張って、ここぞって時に、それを使うんだ。
「琉菜ちゃん、本当に腕あげたよなあ」沖田の隣に座っていた原田が感心した。
「ええ。土方さんと立派に、互角に戦えてますね」沖田も微笑んだ。
「副長と渡り合える女がいるなんて……」
「琉菜さんって、本当にすげえ」
そんなふうに、幹部も平隊士もみんなが舌を巻く中で、琉菜は次の手を考えていた。
琉菜はさっと、素早く土方の背後にまわった。
そうやってまわるが早いか、土方が振り返る一瞬の隙をついて、琉菜は振りかぶった。
だが、琉菜の読みは甘かった。
土方は、振り返る時でさえ隙は見せず、琉菜が振りかぶった時にはすでに土方も振りかぶっていた。
そして、二人同時に打った。
琉菜は面。
土方は胴。
ガンッと激しい音が二つ同時に鳴った。
どちらかの一本が入ったはずだと、その場にいた全員が、ごくりと息をのんで永倉を見つめた。
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