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土方もそれに気づき、急いで木刀の方向を変え、面を狙った。
ガンッという音が、再び道場に響いた。
「しょ、勝負あり!」
ややあって、永倉が叫んだ。
琉菜は最後、土方に予想外の動きをされたので、絶対に打たれたと思った。
土方も、自信がなさそうに永倉を見つめた。
沈黙が流れた。
全隊士分の心臓の音が、聞こえてくるようだった。
やがて、永倉はゆっくりと右手を上げた。
「胴あり一本!琉菜さんの勝ち!」
再び沈黙が流れた。
そして、一拍遅れた歓声が、道場中に響き渡った。
全員が立ち上がり、拍手喝采していた。
「すげえや琉菜さん!」
「副長に勝った!」
あたし、勝ったの……?
うそ、信じられない。だって相手は、新選組の鬼副長。
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