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でも、負ける気がしなかった。
それで、あたし、勝ったんだ。
すごい!我ながら!すごい!
ついにやったんだよね!
琉菜は満足気な顔をしながら、ゆっくりと防具を取り、頭に巻いていた手ぬぐいもとった。
「くそっ!」
土方は荒々しく防具をとった。
その声で、歓声がやみ、あたりはしんとなった。
琉菜は悔しそうに唇をかむ土方を見て微笑むと、土方の前に正座した。
「土方さん、何度もあたしの勝負に付き合ってくれてありがとうございました」
そう言って、深々と頭を下げた。
何度も、は中富新次郎として戦ったものも含まれる。土方もそのことを察したのか、ふっと口角を上げた。
その時、今までのことが走馬灯のように思い出された。
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