26.伏見へ

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 大きな大八車を、力自慢の隊士が押し、そのあとをぞろぞろとみんながついていく。  後追いで、あくまで新選組とはなんの関係もありませんという風情で駕籠に乗った沖田、その周囲を琉菜と町人に扮した市村、山崎が歩いた。  隊列の中に駕籠があれば、「病人または要人を運んでいます」と触れ回るも同然だ。そうとは思わせないための、策である。  道沿いには多くの町人が出てきて、おそるおそる新選組を見ていた。 「みぶろじゃみぶろじゃ」 「伏見に行かはるんやて。これでやっと平和になるなあ」  本人たちはこそこそ言ってるつもりのようだが、琉菜たちには丸聞こえだった。  失礼な、と思いながら、琉菜はそんな町人たちを無視して歩き続けた。  そんな中、大声で叫んだ一人の町人の声は、やけに響いた。 「新選組、お仕事がんばってなあー!!」  聞きなれた声に琉菜が振り返ると、中富屋の面々が立っていて、こちらに手をふっていた。
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