26.伏見へ

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 琉菜は包帯や手ぬぐい、かき集めた薬を用意し終え、門に向かった。 「近藤局長!大丈夫ですか!?」琉菜は血相を変えて、担架に横たわる近藤に駆け寄った。 「う、うう……大丈……」近藤は青白い顔で、はあはあと息を切らせた。肩を押さえてはいたが、その手の下からは血が流れ出している。 「局長、しゃべらないで下さい!」担架を運んでいた隊士が、慌てて遮った。 「とにかく、止血しなきゃ!中に布団は用意してありますから、奥の部屋に!」琉菜は急いでその隊士に言った。  ほどなくして、山崎がやってきた。  山崎は寝ている近藤の横に座ると、ピンセットのようなものを取り出して、傷口から弾を取り出した。 「痛いっ!!」近藤が大きくうめいた。 「我慢してください。血が止まるまでは、絶対に動かないように」  近藤は顔を思いっきりしかめて、なんとか頷いた。
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