359人が本棚に入れています
本棚に追加
/483ページ
その夜、琉菜が沖田の部屋でおかゆの用意をしていたところに、山崎が入ってきた。
「山崎さん、近藤先生はどうなんです?」沖田が急いで尋ねた。
「まだなんとも。とりあえず、血は止まりました。せやけど、安心はできしません。それで考えたんですけど、局長の了承も得ました。大坂に、松本先生がおります。近藤先生と沖田さんには大坂城に入ってもらって、療養生活をしてはどうかと」
一瞬の沈黙が流れた。
やがて沖田がそれを破った。
「伏見を離れるんですか。土方さんたちの力にはなれないんですか」
「はい。でも、近藤局長の護衛はできます」
山崎さんうまい、と琉菜は思った。
近藤の護衛。そうなれば、沖田は嫌とは言えないはずだ。
「それなら……いいですけど」沖田はしぶしぶ、というように言ったが、納得しているようだった。
「近藤先生をまだ動かせないので二、三日待ってください。……琉菜さん」
「はい」
山崎が突然話を琉菜にふってきたので、琉菜は少し驚きながらも返事をした。
「ちょっと話させてもろてもええやろか」
琉菜はこくりと頷き、部屋を出て行く山崎について行った。
最初のコメントを投稿しよう!