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そんなことは言われなくても十分にわかっているので、琉菜はずっと聞きたかったことを聞いてしまった。
「山崎さんは、伏見に残るんですか?」
山崎は突然話題が変わって少し面食らっていたが、やがて「ああ。それが運命やろ」と答えた。
琉菜にはそんな山崎を見て、どうしても悲しくなって、声を荒げた。
「運命なんて縛られるものじゃありません。自分で変えればいいじゃないですか!藤堂さんのことは、変えられなかったけど、山崎さんは自分でわかってるじゃないですか。歴史なんか、変えちゃえばいいんです」
「アホなこと言うもんやない」山崎が諭すように言った。
「運命いうんは、自分に都合がいいだけのものやない。俺ならちゃんと覚悟できてるから大丈夫や。だいたい、ここで逃げたら士道不覚悟。俺の今までの監察の仕事はなんやったんや」
「でも……」
もう、そんなことどうでもいい。
あたしは、もう大好きな人がいなくなるのが嫌なの。
士道よりも、命が大事。そういう未来の価値観、持ち込んだら駄目なの?
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