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そう思っても、琉菜はそれを声にすることができなかった。
「俺はこの時代にこれた、山崎烝になれた、それで満足してるんや。お前は違うんか?」
琉菜は無意識に首を横に振った。
そうなんだ。
この時代に来れた。
本物の新選組に会えた。
それだけで、十分だ。わかってる。わかってるけど。
「そういうことや。俺は最後まで山崎烝として生きるさかい、そないな顔すんなや」
「……はい」
「ほな。俺はもう行かなあかん」
「はい。あの、気をつけてください!」
山崎はにっこりと微笑むと、踵を返して行ってしまった。
琉菜はその背中が見えなくなるまで、ずっとそこに立っていた。
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