27.開戦

1/12
前へ
/483ページ
次へ

27.開戦

   二日後、琉菜は近藤や沖田と共に大坂城に入った。  沖田を寝かせ身の回りの準備をしている間、近藤は別室で松本良順の診察を受けていた。  やがて診察が終わったのか、松本が琉菜たちのもとに現れた。 「お久しぶりですね」 「はい。こちらこそ、ご無沙汰しております」  時勢が時勢だから、幕府御典医の松本も苦労しているのだろう。以前会った時よりも、やつれて見えた。 「それで、近藤局長の方は……?」琉菜は単刀直入に尋ねた。 「ひとまず、命に別状はありません。ただ、無理をすると刀を持てない腕になるかもしれないので、もう少し安静に」 「そうですか……」 「食欲もあるみたいでしたから、夕食をお願いします」 「はい」琉菜は頷いた。  琉菜と松本の様子を青白い顔で見ていた沖田がほっと息をついた。  それに気づいた松本は話の矛先を沖田に向けた。
/483ページ

最初のコメントを投稿しよう!

359人が本棚に入れています
本棚に追加