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27.開戦
二日後、琉菜は近藤や沖田と共に大坂城に入った。
沖田を寝かせ身の回りの準備をしている間、近藤は別室で松本良順の診察を受けていた。
やがて診察が終わったのか、松本が琉菜たちのもとに現れた。
「お久しぶりですね」
「はい。こちらこそ、ご無沙汰しております」
時勢が時勢だから、幕府御典医の松本も苦労しているのだろう。以前会った時よりも、やつれて見えた。
「それで、近藤局長の方は……?」琉菜は単刀直入に尋ねた。
「ひとまず、命に別状はありません。ただ、無理をすると刀を持てない腕になるかもしれないので、もう少し安静に」
「そうですか……」
「食欲もあるみたいでしたから、夕食をお願いします」
「はい」琉菜は頷いた。
琉菜と松本の様子を青白い顔で見ていた沖田がほっと息をついた。
それに気づいた松本は話の矛先を沖田に向けた。
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