27.開戦

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「調子はどうですか?」 「別に変わったことは……」 「それならよかった。悪くならないのに越したことはありませんから」  それは、もう治りません、と暗に宣告しているようなものだった。  沖田は「そうですか」と力なく微笑んだ。琉菜はそんな沖田を直視できなかった。  あと百年もすれば、結核なんて治っちゃうのに……。  琉菜はやり切れない気持ちで二人の会話を聞いていた。そのうちに、夕食の支度をするから、と二人を残して部屋を出た。  バタン、と後ろ手にふすまを閉め、琉菜はふう、と息をついた。 「結核の馬鹿やろう。幕末医学の馬鹿やろう」  誰にも聞こえない小さな声で、琉菜はそうつぶやいた。
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