359人が本棚に入れています
本棚に追加
日もすっかり暮れ、琉菜が近藤の部屋に夕食の食器を取りに行くと、近藤は
「ああ、琉菜さん。いつものことながらおいしかったです。ありがとう」
と、琉菜に笑いかけた。笑顔を見せる余裕はあるようだ。
食欲も申し分なく、食器は空になっていた。
「腕の方はどうですか」
「まだ少し痛みはあるが、それでも最初の時よりはマシです」
「よかった。早く元気になってくださいね」
琉菜は膳を持って立ち上がった。
すると、近藤は「琉菜さん」と呼び止めた。
振り返った琉菜に、近藤は真剣な顔でこう言った。
「戦は、始まりますか」
一瞬迷ったが、これくらいのことは遅かれ早かれわかることであるし、それを聞いた近藤が何かしたところで歴史は変わらないだろうと思い、琉菜は正直に答えることにした。
「はい」
最初のコメントを投稿しよう!