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はっきりと肯定する琉菜を見て、近藤は少し疲れたような顔で「そうか」と呟いた。
「すみません。変なことを聞いてしまいました」
「いえ。それじゃ、あの、おやすみなさい」
琉菜は部屋を出て、カタンと襖を閉めた。
そして、小さく溜め息をついた。
歴史に残る戦が始まるまで、あと半月。
***
琉菜は幕末に来て初めて、宴のない大晦日を過ごした。
もちろん、状況が状況だけに当然それどころではないのだが。
しかし、もうあんなふうにみんなでバカ騒ぎをすることは二度とできないのだと思うと、琉菜は寂しくて仕方がなかった。
そして、年が明けた一月二日。
琉菜は近藤の部屋に呼ばれていた。
「琉菜さん、使いを頼まれてくれませんか」
「はい?」
琉菜が不思議に思い近藤を見ていると、近藤は懐から何やら紙を取り出した。
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