epilogue3.誠の未来へ(最終話)

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 ツアーのコースは新選組の屯所をめぐる、ということで、最後は壬生寺でお開き・解散となった。 「質問ある方はなんでも聞いてってくださいね~」  ツアーの最後に琉菜は必ずそう言うのだが、すでにここまでで十分すぎるくらい説明をしているので、本当に何かを質問していく者はほとんどいなかった。が、今日は一人残っていた。 「あの、沖田さんって、芸名っていうか、そういう感じですか?沖田総司と同じ苗字だから」  尋ねてきたのは、二十代前半くらいの女性だった。「新選組を歩く」と書いてあるガイドブックを手にしている。あちこち付箋が貼ってあって、年季が入っている。これは、マニアックすぎて一緒に旅行してくれる人がいない新選組オタク女子の一人旅だ。琉菜はそう直感した。 「いえ、たまたまですよお。むしろ、同じ苗字だから沖田総司に親近感が湧いて、新選組をいろいろ調べているうちにこの仕事をって感じですかね」琉菜はあはは、と笑ってごまかした。まさか本当のことを言えるはずもない。
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