epilogue3.誠の未来へ(最終話)

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 もっとも、戸籍上は「宮野琉菜」のままなので、「沖田琉菜」は確かに芸名というか、通り名だった。 「沖田さんは、どう思いますか?沖田総司って、いろいろ謎が多いじゃないですか。享年が二十五歳なのか二十七歳なのかとか、ヒラメ顔って本当だったのかとか、命日は五月の三十日が通説って言われてるけど、一部で六月五日説もあったりとか」  琉菜はギクリとした。だが、冷静に答えた。 「そうですねえ。まず私は二十七歳説を信じてますよ。その方がちょっとでも沖田総司が長生きできたって思えるし」  これは実際、総司さんから聞いたもんね。天保十三(一八四二)年生まれだって。 「あと、顔ですが、ヒラメ顔っていうより今でいう塩顔みたいな感じだったんじゃないですかね」  これも見たから本当だもん。 「で、命日は……私は五月三十日だと思っています。六月五日というのは、きっと葬儀をした日とかそんな感じじゃないですかね?だってほら、池田屋と同じ日じゃないですか。なんだかドラマチックすぎるというか、いかにも小説向きっぽいでしょう。だから、きっと小説で書かれたのが史実の一説として独り歩きしたんじゃないですかね?」
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