epilogue3.誠の未来へ(最終話)

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「女中さんの日記には『逝去』とはっきり書かれていたらしいですよ。昏睡状態とかだったなら、そう書くと思うんです」  この手の質問をされることは時々あった。そして琉菜は、その度に五月三十日説を推していた。日記を書いた張本人として。  女性は、「ふふっ」と楽しそうに笑った。 「そうですよね。あなたがそう言ってると、なんだか本当のことのような気がしてきます。ネットで話題になってたからこのツアー申し込んでみましたけど、来てよかった。沖田さんの話、本当に幕末からタイムスリップしてきたみたいに臨場感ありました」 「あはは、ありがとうございます」 「貴重なお話を聞けて嬉しかったです。こちらこそ、ありがとうございました」  女性はペコリとお辞儀をすると、そそくさと去っていった。  まさか、総司さんの命日のこと、こんな風に歴史に残るとはねえ……  琉菜はこのあと河原町にあるガイドの事務所に戻らなければならなかったが、少し時間があったので壬生寺の石段に腰掛けて、スマートフォンで「沖田総司」と検索した。そこには、「沖田総司(天保十三?年~慶応四年五月三十日〈諸説あり〉)」と書かれていた。  
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