epilogue3.誠の未来へ(最終話)

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 壬生の周辺は辛うじて当時の面影を残しているが、少し歩けば四条大宮の駅。そこに江戸時代の面影はなく、観光客や地元の人々で賑わっている。琉菜はあの頃と変わらない景色を見たくて、遠回りにはなるが鴨川方面に向かって歩き出した。  ――琉菜。  まただ、また、声が聞こえたような。  琉菜は、足を速めた。  ようやく鴨川沿いに出ると、大きな木が一本、どっしりとそこに立っていた。  それは、初めて沖田に会った時に、自分は未来から来たのだと打ち明けた、あの木だった。 「変わらないなあ」  琉菜は木の傍に降りていって、座った。目を閉じる。  総司さん。  そっちは楽しいですか?みんないますか?  永倉さんと斎藤さんだけおじいさんになってるでしょ。  っていうか、あの世ってやっぱり死んだ時点の容貌で行くものなんですか?
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