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あたしは、あなたたちが命がけで切り開いてくれた未来で、あなたたちのことを語り継いで、元気に生きています。
運命の地にタイムスリップするって、戻ってきた後のことも全部含めてのことだったのかなって、今では思うの。
総司さんに、みんなに、会えて本当によかった。
絶対絶対、忘れないからね。
――琉菜。
私はこっちで近藤先生たちと達者にやっています。
あなたのことを忘れた日は一日だってありません。
私はいつでもあなたを見守っています。
だから、あなたの思うように、未来を、精一杯生きてください。
馬鹿だなあたし。
聞こえるわけないのに。
でも、夢でもいい。総司さんの声が聞ければ、それでいい。
いつかおばあさんになってそっちに行くことになっても、あたしのこと、受け入れてくれますか?
それまでは、あたしの大好きな、この目見てきた新選組を、沖田総司を、これからも想い続けながら生きていくよ。
だから、ゆっくり眠ってください。
総司さん。大好きだよ。
目を開けると、見慣れた風景が目に飛び込んでくる。
人気のない鴨川の景色は、あの時から変わらない。
琉菜はよし、と言って立上がった。
「明日もがんばろっと」
そう言った琉菜の背中を押すように、サアッ、と強く、それでいて優しい風が吹いた。
<完>
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