2.三たび時の祠

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2.三たび時の祠

 卒業式からさらに一年後。  ついにその時がやってきた。  アルバイトの給料で買い揃えた女物の着物に身を包み、琉菜は時の祠の前に立っていた。新選組を脱走した時、スマホ以外の荷物はすべて中富屋に置いてきてしまったので、こちらで新たに女物の着物を調達するしかなかったのだ。脱走時に着てきた新選組の羽織は身につけていない。自宅の箪笥の奥の方に、大事にしまってある。  あの羽織に袖を通すことはもう二度とないだろう。  父親も母親も娘を心配する親心から琉菜が三度タイムスリップすることを手放しで許したわけではなかったが、琉菜がさっさと着物や帯一式を買い揃えてきたのを見て、そんなに行きたいならと、「絶対に殺したり殺されたりしない」を条件に送り出してくれたのだった。  久しぶりだな、ここに来るのも。  琉菜は時の祠の鳥居を見上げた。相変わらずひっそりとそこにある鳥居。注意深くしないと普通の人はその存在に気付かないだろう。  琉菜は石段を登り、鳥居をくぐった。  もう何度か感じた、あの強い風が吹いた。  琉菜は目を閉じた。  お願いします。    今度こそ、"再会"させてください。  目を閉じたまま、ゆっくりと方向を変える。     
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