3.いざ、西本願寺

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3.いざ、西本願寺

 やっと、やっと帰れるんだ……!!  琉菜は歩を速め、西本願寺に向かった。  いよいよ、再会の時。  この時を迎えるために、新選組を脱走し、平成の世で時を待っていたのだ。  琉菜は今、晴れて彼らに再会できるという希望に胸を高鳴らせていた。  遠くに、西本願寺の太鼓楼が見えてきた。新選組が屯所にしていたエリアの中で唯一平成まで残っているので、琉菜は未来にいる間も幾度となく訪れていた。平成で見慣れた姿よりも小綺麗なその建物を琉菜は目を輝かせて見上げた。  ふと視線を下げると、少し先の角から二人の男が現れた。  琉菜は目を見張った。  間違うはずもない。琉菜がずっと会いたかった人物の、後ろ姿だった。  予想より少し早い再会に、琉菜は心の準備とばかりに深呼吸した。  会えた…!!  今度こそ、堂々とあたしとして、会えるんだ! 「沖田さん!原田さん!」  琉菜は大きな声で懐かしい名前を呼んだ。呼ばれた二人は振り返ると、腰を抜かさんばかりに驚いた顔をした。 「琉菜さん!?」 「琉菜ちゃんなのか!?本当か!?」  琉菜は「はい!お久しぶりです!」と言って二人の元に駆け寄った。     
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