麦酒は程々に

*

いつもの、と言っても、ここへ来たのは二回目。
だが、その〈いつもの〉が何を指すのかは勿論分かる。

そのやり取りが、
俺とユウさんとだけの、秘密の合言葉の様に思えた。

「それでお願いします。」

と、無駄に真剣な表情をつくりながら言うと
フハッと笑いながら、ユウさんは酒を作り始めた。

〈いつもの〉がユウさんに作られている間、
俺は、この前と同じように、ユウさんを見ていた。

しかし、何だろう？
この前とは何かが違う気がした。