姉さん

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姉さん

カイルに見とれるケイトに彼は言った。 「大丈夫?」 「ええ、ごめんなさい。大丈夫です。」 「なんか、アランが好きになるのも無理ないね。君はピュアーな目をしているね。」 「えっ、私にそんなこと言ってくれた人、初めてです。ありがとう。」 「その言い方、アランの口癖だね。」 ケイトは微笑んだ。 カイルは真剣に彼女を見て言った。 「それでさ、ツアーに来てくれるよね?」 「カイルこそ、その言い方アランみたいですね。強引で。 わかりました。行きます。そして今日から勉強します。」 「ケイト、ありがとう。決まりだ!」 ケイトは思った、なんか似てる。 二人はほっとして、しばらくコーヒーを味わった。 カイルが言った。 「他に質問ない?」 「ツアーのことでなくていいですか?」 「なに?」 「怒らないですか?」 「聞いてみないと。」 カイルは笑顔に少し眉をよせてケイトの言葉を待った。 「あの、カイルはアランの姉さんの恋人だって聞いたんだけど。」 「えっ、デービッドから漏れた?」 「いえ、私はポールから聞きました。そしてそれは守秘義務だって。」 「やっぱりね、デービッドに秘密は無理だね。まったく。それで?」 「守秘義務は守りますけど、、、、アランのトラウマってお姉さんなんですか?」 カイルはしばらくコーヒーをすすって答えを探していた。 「君、知らない方が楽かも。」 「そうなんですか?でも、私とアランは心で会話をしてるので、、、、たまに私そのこと考えちゃって、、、、そして彼に伝わっちゃわないかと心配で。」 「そうなんだ。」 「このこと、誰にも相談できないから、、、今日はあなたの要求をのみましたから、ちょっと見返りもらえないかと思って。」 カイルは優しく微笑んだ。 「取引か?ケイトは面白い子だね。アランのガールフレンドだからね。」 彼はおもむろに話し出した。 「どう言ったらいいのかな。 アランとアンジーは深く愛し合っていた姉弟で、でも時が来て、アランが飛び出して、イルミナ始めて、そしてそうね、半年くらい前に彼らは、精神的にも決別した。あの歌のように、わかる?」 「ええ、あの別れの歌。あれ歌うとアラン心の中で泣いていますよね。」 「そうなんだ?」 「それからお姉さんには会ってないの?」 「その前から、イルミナ始めたときから会ってないよ。もう2年半以上になる。アランは過去を捨てたという。」
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