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トラウマ
ケイトは続ける。
「でも、お姉さん、寂しいでしょうね。だって最愛の弟でしょう？」
「そう、だから僕が彼女を守ってる。」
「そうなんですか。アランを理解するのに少し助けになりました。ありがとう。」
「ケイト、君は本当に彼を愛してるんだね。難しい恋人だと思うけど、たのむよ。」
「ええ、彼も愛してくれるので、、、、
それで、そのアンジーってAZCのCEOのアンジー・ロウ？もしかして？あの大物シンガーの？」
カイルは首を縦に振った。
ケイトは涙がほほを伝うのを感じたが、なぜ泣いているのかわからなかった。
カイルが言った。
「ケイト、大丈夫？」
「ええ、アランってかなり重い荷物背負ってるんだなと思って、泣けてきた。」
「荷物？」
「アランはたぶん自分が本当に、最愛の人の愛から独立できるのは、アンジーくらいの大きさにならなくてはならないと思ってるのね。そして彼は姉さんを今も愛してるわ。」
カイは感心した目でケイトを見た。
「君の洞察力ってすごい。法曹界目指してるんだろ？向いてるね。成功するよ。」
「私、心が少し読めるだけです。アランだけだけど。」
「アランがトラウマがあるって言ったの？」
「そう、でも私もトラウマがあるんです。男を愛せないっていう、、、、私って愛がよくわかっていないんです、、、、愛が信じられない。」
カイルの顔が一瞬に変わった。
彼は何かを思うようにしばらく視線を空間に投げていた。
「じゃ、君はアランを愛せないってこと？」
「愛って？、、、、私、愛がよくわからないんです。
彼は、いつも殺し文句を、愛の言葉を、歌を作るように、ダイナマイトように、突然、ぶつけてくるけど、私、素直に受け止められなくて、信じられなくて、彼を馬鹿にしたように、笑っちゃうんです。笑いが止まらなくなるんです。」
「で、アランは？」
「プライド、ずたずたになってます。私、幸せとか、嬉しいとか、愛されてるとか、よくわかんないんです。変ですよね？」
ケイトの大きな目から涙が流れて、流れるままにして、思いに浸っていた。
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