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「船全部くり抜いた! 」
「すごいね、お兄ちゃん。これ、難易度高いんだよ? 」
やっぱり琥珀はすごい奴だ。特別何かが優れているわけでもない私とは別世界の人間だ。
「ヨーヨー、琥珀は何色釣る? 」
型抜きを終えた私達はヨーヨー釣りへ。
「俺は青」
「あ、なんか琥珀って感じだよね。私は何色にしよう? 」
「優愛は黄色」
「どうして? 」
「黄色ってピンクとかと一緒に使うと地味だけど、黒の中に入れるとすごく映えて綺麗に感じるから」
「観点が芸術家だね」
「優愛はそういう存在。暗闇にいた俺を照らすから」
「も、もう!恥ずかしい事言わないの」
「本当だよ」
ごめんね、私はもう琥珀の側にいられない。琥珀を照らす存在で居続ける事は出来ない。
「じゃあ、私は黄色にしよう」
側にいたいけど、出来ない。
「あっちにお面がたくさんある」
「琥珀、ひょっとこのお面があるよ」
「やだ。芸術的じゃない! 」
「えー? 面白いのに」
「優愛が被れば? 似合いそう」
「ちょっと! 失礼だから! 」
自分で離れるって決めたのに、どうして? 時間が止まれば良いのに、なんて。
「花火もうすぐだね」
「俺、穴場知ってる。行こ」
「えっ? 河原、あっちだよ? 」
「河原は人がたくさんいるから。優愛、こっち」
私は琥珀に手を引かれ、神社から移動する。
「ビル? 」
「1階は俺がバイトしているお絵描き教室。今日は特別に屋上の鍵を借りたんだ。行こ」
「う、うん」
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