第5話 これがきっと最後の夏。

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「船全部くり抜いた! 」 「すごいね、お兄ちゃん。これ、難易度高いんだよ? 」 やっぱり琥珀はすごい奴だ。特別何かが優れているわけでもない私とは別世界の人間だ。 「ヨーヨー、琥珀は何色釣る? 」 型抜きを終えた私達はヨーヨー釣りへ。 「俺は青」 「あ、なんか琥珀って感じだよね。私は何色にしよう? 」 「優愛は黄色」 「どうして? 」 「黄色ってピンクとかと一緒に使うと地味だけど、黒の中に入れるとすごく映えて綺麗に感じるから」 「観点が芸術家だね」 「優愛はそういう存在。暗闇にいた俺を照らすから」 「も、もう!恥ずかしい事言わないの」 「本当だよ」 ごめんね、私はもう琥珀の側にいられない。琥珀を照らす存在で居続ける事は出来ない。 「じゃあ、私は黄色にしよう」 側にいたいけど、出来ない。 「あっちにお面がたくさんある」 「琥珀、ひょっとこのお面があるよ」 「やだ。芸術的じゃない! 」 「えー? 面白いのに」 「優愛が被れば? 似合いそう」 「ちょっと! 失礼だから! 」 自分で離れるって決めたのに、どうして? 時間が止まれば良いのに、なんて。 「花火もうすぐだね」 「俺、穴場知ってる。行こ」 「えっ? 河原、あっちだよ? 」 「河原は人がたくさんいるから。優愛、こっち」 私は琥珀に手を引かれ、神社から移動する。 「ビル? 」 「1階は俺がバイトしているお絵描き教室。今日は特別に屋上の鍵を借りたんだ。行こ」 「う、うん」
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