カーナビ―ストリートで

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カーナビ―ストリートの一角。 人気ロックバンド、イルミナのリードボーカルのアランが一人で通りを歩いている所を、ティーンエージャーのファンが見つけ大声をあげた。するとあっという間に、彼に人が群がった。彼はすきを見て走り出したが、ファンの数はどんどん増え、追ってくる。 あるコーナーで息を継いでいたアランに、「こっち」と言って、手を引いて裏道を導いた娘がいた。アランはなされるが儘に彼女に従うが、またファンの群衆に見つかってしまう。 彼女は足が速く、アランを引っ張って、裏道、抜け道と駆け抜ける。やっとファンは撒けたようだ。アランは激しく息をして、咳をしていた。 「君って、すごい。まるでMIみたいだったね。」 「ていうより、ビートルズの昔の映画でこういうのあったよね。」 「ちょっと、息が切れて、水がのみたいんだけど。」 「私のとこ来る。すぐ近くだけど。」 「ああ、助かる。」 アランは咳をしながら彼女についてきた。部屋の中はこぎれいで、センスのいいインテリアだった。そしていい香りがした。 「すごくきれい。君ってインカムいいんだね?」 アランは、まだ激しく息づかいで、咳を繰り返し、コートのままソファに倒れこんだ。 彼女がクリスタルグラスに水を入れてアランに差し出す。 彼はそれを一気に飲み干すと言った。 「バカラか?」 「ねえ、コート脱いだら?」 「や、ちょっと寒気がするんだ。」 彼女が彼の額に手を当てた。 「すごい熱だね、風邪なの?」 「かも。」 彼は激しく咳をしてソファーに身を預ける。 彼女はもう一度、グラスに水を入れてきた。 そして、目を閉じているアランの口元を優しく開かせ、薬を飲ませた。 アランは跳ね返って彼女を手で払う。 「なんだよ。何すんだよ。ドラッグか?やめてくれ。」 「違うわよ。風邪薬よ。すぐ効くわよ。」 アランは目を辛そうに細く開けて言った。 「ドラッグでも風邪薬でも、僕を殺す気かい?僕ケミカルアレルギーなんだ。病院も、医者も嫌い。絶対行かない、、、、」 そういいながら、寝てしまった。
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