4人が本棚に入れています
本棚に追加
カーナビ―ストリートの一角。
人気ロックバンド、イルミナのリードボーカルのアランが一人で通りを歩いている所を、ティーンエージャーのファンが見つけ大声をあげた。するとあっという間に、彼に人が群がった。彼はすきを見て走り出したが、ファンの数はどんどん増え、追ってくる。
あるコーナーで息を継いでいたアランに、「こっち」と言って、手を引いて裏道を導いた娘がいた。アランはなされるが儘に彼女に従うが、またファンの群衆に見つかってしまう。
彼女は足が速く、アランを引っ張って、裏道、抜け道と駆け抜ける。やっとファンは撒けたようだ。アランは激しく息をして、咳をしていた。
「君って、すごい。まるでMIみたいだったね。」
「ていうより、ビートルズの昔の映画でこういうのあったよね。」
「ちょっと、息が切れて、水がのみたいんだけど。」
「私のとこ来る。すぐ近くだけど。」
「ああ、助かる。」
アランは咳をしながら彼女についてきた。部屋の中はこぎれいで、センスのいいインテリアだった。そしていい香りがした。
「すごくきれい。君ってインカムいいんだね?」
アランは、まだ激しく息づかいで、咳を繰り返し、コートのままソファに倒れこんだ。
彼女がクリスタルグラスに水を入れてアランに差し出す。
彼はそれを一気に飲み干すと言った。
「バカラか?」
「ねえ、コート脱いだら?」
「や、ちょっと寒気がするんだ。」
彼女が彼の額に手を当てた。
「すごい熱だね、風邪なの?」
「かも。」
彼は激しく咳をしてソファーに身を預ける。
彼女はもう一度、グラスに水を入れてきた。
そして、目を閉じているアランの口元を優しく開かせ、薬を飲ませた。
アランは跳ね返って彼女を手で払う。
「なんだよ。何すんだよ。ドラッグか?やめてくれ。」
「違うわよ。風邪薬よ。すぐ効くわよ。」
アランは目を辛そうに細く開けて言った。
「ドラッグでも風邪薬でも、僕を殺す気かい?僕ケミカルアレルギーなんだ。病院も、医者も嫌い。絶対行かない、、、、」
そういいながら、寝てしまった。
最初のコメントを投稿しよう!