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第二幕
「そうやって自分を守ってきたんだね。」
アランは彼女の髪を唇で愛撫した。
「わかるよ。僕にも愛についてはつらい経験があるから。」
彼女は彼を真剣に見つめた。そして思った。今がその時なんだ。今逃げてはいけない。
アランがケイトの前髪を分けて言った。
「なあに?」
ケイトは涙を流しながら言った。
「アラン、あなたは優しいのね。」
アランは微笑んだ。
「君を守ってあげる。」
彼女は泣きながら、また笑い始めた。
アランが言う。
「まただ、また笑う。」
「だって、あなたプリンスみたいなこと言うんだもの。」
「へえ、どこが?」
彼女は彼の腕を振りほどいて言った。
「私のこの部屋に来た男はあなたが初めて。ここは私の仮想空間。昨夜からのことは私の空想。ファンタジー、、、、、、、素敵だったわ。」
アランは面食らって言った。
「ケイト、、、、これ現実だよ。、、、まったく、君は、、、、わかった、、、ケイトの思考回路で言うね。そのファンタジーの第二幕にアランが登場するんだけど、僕とやっていける?しばらくの間。」
ケイトは彼の言葉が受け入れられなかった。急にひどい頭痛がし、気分が悪くなってきて、バスルームに駆け込んて吐いた。アランは優しく背中をさすってくれた。
「ケイト、君は僕を笑うけどさ、君こそクレージーだよ、、、、、だから僕たち気が合うと思うけど。」
ケイトはアランを見て苦しげに笑った。
この子の理論はかなり、中間を省略している。だからおかしいのかな?
アランはケイトを抱えおこし、ソファの上で彼女を両手でだき抱えていた。
「ケイト、君の妄想、、、異常じゃないから、心配しないで。きっと君は僕をわかってくれる。これは単なる希望だけどさ。わからなければ、それでもいい。
ねえ、さっきの提案なんだけど、僕の秘書をやらない。ここの生活費位出るよ。どう?」
ケイトは思った、そして彼は論旨をはずさない。この話法に慣れてきている自分が信じられない。
「アラン、私ね、ロースクールが中途半端になっていて、勉強に戻ろうと思ってるの。それと両立するなら。いいわ。」
「へえー、君も法律か?なんか僕の回りはインテリばっかだ。」
「ほかに誰が?」
「あとでわかる。それでいいから契約しよう。そしてたまに恋人。」
「恋人の契約書もつくるの?」
「君が望むなら。」
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