ケイト

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ケイト

彼女はまた追憶に浸る。 先月、イルミナのコンサートに行った。メンバーの顔はモニターでしか見えない席。でもすごく感動した。イルミナの曲はファンタジーだ。曲を聴くとファンタジーの中に浸れる。そしてコンサートではそれが増幅して、光の中に戯れて、歌と音が織りなすアートを見ているみたいだった。 目の前のこの子がアラン?イメージより小さくて、痩せてて、普通の子だ。彼女はまたアランの腰を枕にしてブランケットをかけまどろんだ。イルミナの音楽を頭の中で奏でながら。 明け方、アランはまた起きた。 「大丈夫?」 「うん、今度は暑い。凄い汗だ。」 彼女は彼の額に手を当てた。 「熱が下りたみたいよ。」 「ありがとう。君ってナースなの?」 彼女は笑った。 「シャワ―浴びて来たら、あなた痩せてるから私の服でも大丈夫でしょ。着替え出しといてあげる。」 「ありがとう。本当に世話になるね。ありがとう。」 彼はシャワールームに入っていった。 彼はシャワーをあびて出てきたとき、彼女は心臓が止まる思いをした。 濡れてクシャクシャな髪、、、あの少年。 あの少年は言った。 「外の世界でもし会ったら、君は僕を好きになってくれるかな?仕事辞められるのかな」と。 彼に彼女の素性がわかるはずはない。私生活にはノーメークに近いし、服もシンプルだから。それに彼は何も気づいていないらしい。あの少年はアランだったのか? アランは言った。 「君の服のサイズ、ぴったりだ。ありがとう。」 「男にしては痩せすぎじゃない?」 「しょうがないよ。ところで、もう朝だね。洗濯機かりたよ。2時間くらいかな?その間、朝ごはんでも食べに行く?」 「よかったら私作るけど。」 「わっ、それ最高!僕たち寝てもいないのに、朝ごはんご馳走になれる。」 アランは嬉しそうに笑った。 アランは美しい。透き通った青い大きな瞳、色白の端正な顔、プラチナ色の髪してて、花びらのような唇。 「手伝おうか?」 「あなたって回復早いよね。もう元気みたいだね。大丈夫、簡単だから。コーヒー飲む?」 「飲む、飲む。、、、君、名前なんて言うの?聞いてないよね。僕、アラン。知ってるか。」 「ケイトよ。」 「ケイト、いろいろありがとう。君って足早いよね。イーサンハントみたいだ。」 「ねえ、アラン、卵いくつ?そしてどうする?」 「2個でお願い。出来ればオムレツ。」
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