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決断
アランは乾いた服に着替えて、窓の外を見て何も語らず、たまにケイトの顔に視線を移すが、また自分の思考に浸っていた。
「アラン、何考えてるの?」
彼はケイトを見たが、また窓の外の雪を見ていた。
「雪ひどくなってきたよね。」
彼はおもむろに言った。
「ケイト、こんなこと言って怒らないでね。」
「何よ。」
「僕の愛はいつまで続くかわからないけど、、、こんな言い方ないよな、、、、、」
「いいわよ。別に。」
「違うんだ。今の僕は君を好きだ。今の愛が永遠に続いたらいいと思う。でも永遠を誓うことって出来ないよ。だからしばらく、もし君がよければ、僕を新しいボーフレンド候補にしてくれる?」
ケイトは笑った。
「アランは、本当に面白いね。」
「また、そんな風に馬鹿にして。男と女の関係の場合、男にイニシャティブ取らせてよ。」
ケイトは微笑んでいった。
「ごめんさい。あなたみたいな人、初めてだから、笑うしか反応できなくて。」
彼女はアランと並んで窓から雪景色をながめた。
アランは彼女を見つめて言った。その瞳の中にも雪がちらついていた。
「ケイト、君は今の仕事辞めて、僕の秘書にならない?」
またケイトは噴出した。
「アラン、あなたは本当にイルミナのアランなの?あの神秘的な、みんなの心に光をともすイルミナの?、、、、今、ここにいるのはクレージーなことばかり連発する男の子にしか見えないんだけど。」
アランは真剣に彼女を見据えて言った。瞳が大きく開かれている。
「ケイト、僕をそんな風に言うのは君だけだよ、、、、、君って現実を素直に受け入れられないんじゃない?、、、、、、いつも茶化しちゃって、、、、僕をばかにして、、、、それがトラウマってこと? 君、これでは幸せになれないよ。」
ケイトは、はっとしてアランを見つめた。眼の脇から涙が流れているのがわかった。
彼女は何も言えなかった。彼は見かけよりすっと鋭い。私の鎧の中に切り込んでくる。何者?この子は?
アランは彼女に近づき、優しくハグをした。
「ごめん。ちょっときつかったね。でも僕とのこと茶化すなら、もう会わない。僕のプライドのギリギリだよ。」
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