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そんなメルとの生活も2ヶ月が経とうとしていた。
メルが来た時は夏だった季節が今ではすっかり秋だ。
秋と言えば、うちの中学校でマラソン大会が開かれる季節だ。
「ねーメル。上位6位以内に入れば表彰されるんだって~。絶対無理だよね~」
私は足は遅くはないけど、長距離は苦手。
だから去年も、100人中62位という何の面白みもない順位だった。
「あー面倒くさーい!」
そう言ってソファーで寝転がった私の顔をメルが舐めてきた。
「ぶ!や、やめてメル!わぁっ」
その時リビングのドアが開いた。
「メルも彩葉に頑張って欲しいんじゃないか~?」
「あ、お父さん」
「ただいま~」
仕事から帰ってきたお父さんにメルが駆け寄る。お父さんはメルをワシャワシャと撫でながら言った。
「中学最後のマラソン大会じゃないか。最後くらい6位以内に入ってみたらどうだ?」
「えー?いいよ、そんなの」
「んーじゃぁ、6位以内に入ったら何でも欲しい物買ってやるって言ったら?」
「え?!スマホでもいいの?!」
「ああ」
「や、、やる!!」
美味しい話に釣られて簡単にのってしまった・・・
マラソン大会まであと10日のことだった。
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