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「ただいま・・・・」
家に帰ると、ハッハッハと尻尾を振ってメルが飛びついてきた。
「メル・・・疲れたよ」
メルはいつものように全身で私の帰りを喜んでいる。
「・・・・メル、マラソン、ダメだったんだ。あんなに頑張ったのに。12位なの。でも本当は、6位だった。なのに、なのに・・・ごめんね、メル・・・」
そう言うと我慢していた涙がドバドバと溢れてきた。一緒に走ってくれたお父さんとメルを思うと胸が締め付けられた。
メルは動きを止めて、私の顔を不思議そうに覗き込んだ。
「ごめんね、メル・・・・」
悔しかった。
せっかく頑張って取った6位だったのに。あの特訓の日々は何だったんだろう。。
そしてなにより、ちゃんと由佳ちゃんに「返して」と言えなかった自分に一番腹が立った。
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