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車を運転している間、メルのことで頭がいっぱいになっていく。
どうして?どうして?
死ぬなんて信じられない。
嘘でしょう?メル。
ハンズフリーで母に電話をかけた。
「お母さん!メルは?!」
「まだ大丈夫。だけど、もう目も虚ろで・・・」
「何でそんなことになったの?!」
声を荒げる私を落ち着かせるように、お母さんはゆっくりと話し出した。
「彩葉がいなくなってから、メルは毎日あなたの帰りを待ってたんだよ。彩葉が帰ってくる時間になると必ず玄関に行くの。いくら呼んでもこっちに来ないの。ずっと待ち続けていたわ」
え・・・
知らない、そんなの知らなかった。
メルはずっと私を待っていたの・・・?
「それにね、夜もリビングで寝なかった。メルはガランとした彩葉の部屋で寝ていたんだよ。彩葉が買ってくれたベットを自分で運んでね」
メルと一緒に寝てた日々が一気に頭に流れ込んできた。
私が新しい生活を楽しんでいる間、メルはずっと変わらずに過ごしてたんだ。
ずっとずっと、私を待ってたんだ。
ポタポタと涙が膝に落ちる。
目の前の景色が歪んでいた。
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