メルとの別れ

4/6
19人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
車を運転している間、メルのことで頭がいっぱいになっていく。 どうして?どうして? 死ぬなんて信じられない。 嘘でしょう?メル。 ハンズフリーで母に電話をかけた。 「お母さん!メルは?!」 「まだ大丈夫。だけど、もう目も虚ろで・・・」 「何でそんなことになったの?!」 声を荒げる私を落ち着かせるように、お母さんはゆっくりと話し出した。 「彩葉がいなくなってから、メルは毎日あなたの帰りを待ってたんだよ。彩葉が帰ってくる時間になると必ず玄関に行くの。いくら呼んでもこっちに来ないの。ずっと待ち続けていたわ」 え・・・ 知らない、そんなの知らなかった。 メルはずっと私を待っていたの・・・? 「それにね、夜もリビングで寝なかった。メルはガランとした彩葉の部屋で寝ていたんだよ。彩葉が買ってくれたベットを自分で運んでね」 メルと一緒に寝てた日々が一気に頭に流れ込んできた。 私が新しい生活を楽しんでいる間、メルはずっと変わらずに過ごしてたんだ。 ずっとずっと、私を待ってたんだ。 ポタポタと涙が膝に落ちる。 目の前の景色が歪んでいた。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!