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するとふいに洋子さんに声をかけられた。
「その子ね、もう4回も出産経験があるの。今7歳よ」
「そうなんですか・・・ 」
「人懐こくて可愛い子だよ」
「うん。可愛い」
「無事に届けてやってね」
洋子さんを見ると花が咲いたような笑顔。
とっても明るくて優しい雰囲気の人。
ブリーダーと言えば、最近よくテレビで見てたせいか印象が悪かった。劣悪な環境で動物を道具のように扱っているって。
だけど、そんな悪い人ばかりじゃないんだ。
この人はきっと、愛情を持って接していたんじゃないかな?そう思える人だった。
「よし!車に乗せようか」
洋子さんはガチャンと檻の鍵を開けて1匹のゴールデンレトリバーを出した。
勢いよく飛び出したその子は私に駆け寄ってくる。
「わ、うわっ!」
大きな犬に圧倒されて少し後ろによろめいてしまう。
「あはは!大丈夫?名前はメルだよ!よろしくね」
洋子さんは可愛い我が子を保育園にでも送り出すようにメルを車へ誘導した。
メルもメルで、お母さんの軽自動車のトランクに嬉しそうに飛び乗った。
どこか連れてってくれるの?と言わんばかりのテンションだ。
私は後部座席に乗って、後ろにいるメルに話しかけた。
「メル、家までドライブだよ」
そしてメルの頭に手を置いた。
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