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「やべぇ…なんでだ…」
高校1年、教室で着替える時俺はとんでもない事に気付いてしまった。
猛武騒男子高等学校、このいかにもばk…やばそうな名前なのに割と普通の学校に新一年生として入ったヤンキー、桜木龍郎はとんでもなく恥ずかしい秘密があった。
ガラガラッ 生徒の騒がしい声が響く教室のドアを開いたのは式で見た、担任の浅田和義(31)、整ったルックスに顎先だけ生やした髭と無造作な髪型、とてつもなく眠そうでこれまたとてつもなくダルそうな顔が本当に先生なのかと疑いたくなる。
いかにも真面目そうな生徒や平凡な生徒はびっくりした顔で浅田を見ていた。
「オラー席に着けクソガキ共ー」
低く腰に響く気だるげな声、男子校には男好きの男…いわゆるゲイが居るらしいのだがこの猛武騒校には特別多く、そんな生徒達に浅田は人気だとか。
全校生徒のほとんどから告白を受け、挙句の果てには先生生徒の関係でありながら抱いた事があるとか。
だが噂は噂、どこまでが本当か分からない。
もしかしたら全部嘘かもしれない。
「あっ!せーんせぇ!学園祭ってあるんすか〜!?女子とかってぇ…来ちゃうんすかぁぁ!?!?」
先生がいるにも関わらずぎゃあぎゃあとうるさい中教室の後ろに居るヤンキーの群れの1人が言う。
「学園祭は無いしこの学校に女子は微塵も来ねぇから安心しろーだから席に着けクソガキー」
「えー!?!?!?そりゃねぇだろぉ……」
名簿でばしばしと教壇を叩きながら喋る浅田の言葉にテンションが下がったのか、急に大人しくなり席に着き始めて次第に教室に静寂が広がっていった。
ここまでの龍郎は式が終わって教室に入るなり机に突っ伏して寝息をたてていた。
「はーい」「うーっす」「はい」「はぁい」
浅田が名前を呼んで行き龍郎の番が来る。
「よし……さくらぎ たつろう!………?たつろう!!」
「んがっいって!!!!」
「さくらぎ たつろう!!気持ちよさそうにヨダレ垂らしやがって!」
「あぁ!?…って俺はたつろうじゃねぇ!りゅうろうだ!!!!!」
鈍く音が聞こえるほど殴られて身を起こした龍郎は、自分の名前を読み間違えたうえに殴った目の前の男に思い切り怒鳴るが、かえってきたのは「それはすまなかったなっ」の声と2度目の拳骨だった。
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