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三人は現在をしっかりと認識すると、正面に見える相手の名前を呼び合う。
「カナタと…キョウイチ?」
「あ?なんでシンカがここに…」
カナタとキョウイチ、そこにいたのは意外な関係性を持ったあの二人だった、意外な場所で意外な二人に会ってしまった。
「僕は日直の仕事で、職員室に行くだけだ」
「そーかよ、じゃあとっとと行けよ、こっちは取り込み中なんだから」
そんな二人は取り込み中というが、一体こんなところで何をしているのだろう、わざわざ人目のつかないこんな場所で、どんな会議に勤しんでいたのか。
「ほら、とっととよこせよ、新しいの」
「う、うん…」
そのよこせよという言葉が何を意味しているのだろうか、何かを渡すカナタは何に怯えて、イライラするキョウイチに従っているのだろうか。
「今回も結構よさげなのあんじゃねーか」
「でも一個だけだよ…これ以上は怪しまれるから…」
「分かってる分かってる、しかしお前の父ちゃん本当にすごいやつだよな。何もできねーお前と違ってよ」
僕は今のやりとりで僕は二人の関係を悟った、それがどういうものなのか気付いてしまった、歪な関係を知ってしまったのだ。
「そっちはここでなにしてんだよ」
「はあ?」
「こんなところでなにしてんだって聞いてるんだよ」
「…かんけーねえだろお前にはよ」
「関係なくなんてない」
「シ、シンカくん…?」
「僕は用があってここに来たんだ、お前じゃなくてカナタに、エンバーディーについて」
「なに言ってんだお前」
「エンバーディーで分からない事があった、だから僕はそれを相談したい、丁度いいから今ここで」
「いいんだよシンカくん…!」
純粋に僕はカナタを助けたいと思った、怯える彼に笑顔でいて欲しいと思った、気付いた時には二人の間に介入していたのだ。
「そしてその場にキョウイチは要らない。どっかに消えろ、お前は僕にとって目障りだ!」
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