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僕は全て頭ごなしに否定しながら、自分は大人の視点を持っていると勘違いしながら、短い11年とちょっとを生きてきた。
僕は全てを三人称視点で見ていて、世の中のほとんどとは無関係だと心の中で思っていた、僕は自分自身に失望していた。
「いきなりうぜえなお前!!喧嘩売ってるのか!?」
「喧嘩してるんだよ三下!」
「サンシタだとォ!?好き勝手言いやがってこのヤロー!!」
だからこんなガキみたいな喧嘩なんて無縁だと思っていた、こんなに感情が昂ぶる事があるなんて思ってもいなかった。
「ぶん殴ってやろうか!?あ!?」
「黙れクズ野郎!!」
掴みかかってきたキョウイチを罵倒しながら殴るなんて僕らしくなかった、誰しもが想定外過ぎて、キョウイチは目を丸くした。
「勝手なのはお前だ!!カナタを何だと思ってる!!」
「と…トモダチで悪ぃかよォ!!」
「あんなのはトモダチじゃない!!お前はカナタを脅してただろ!!」
「なんだよパーツを貸してもらってただけじゃんかァ!!」
「じゃあなんでカナタは怯えてるんだ!!お前がそういう事をしてるからだろうが!!」
倒れて怯えるキョウイチを指差して、自分の正義を押し付けるなんて、生涯やるとも思っていなかった。
自分がここまで主張の強い人間だと、くだらない正義感だけでここまで動くような人間だと、僕は今まで何も知らなかったのだ。
「…やめてシンカくん!!」
見かねたカナタは僕とキョウイチの間に割って入ると、僕の一方的な攻撃を止めさせて場を落ち着かせる、キョウイチは殴られた頬を押さえながら立ち上がると僕を睨み付けた。
「シンカァ…!!」
やめろと言われても今にも再び開戦しそうだ、キョウイチは今にも報復しそうだし、僕も腹の虫が収まっていない。
止める人間もカナタ以外にいない、カナタだけで停戦を留められるとは思えなかった、直後にカナタが一つ提案をするまでは。
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