君は誰よりも

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私立タチバナ学園小等部 6年B組のクラス内 そこはガヤガヤと子供達の落ち着きの無い声であふれていた。 「ミオちゃんミオちゃん」 「なにカノンちゃん」 「ミオちゃん見ながらね、似顔絵描いたの」 「授業中ずっと?」 「うん。ほら、見て見て、かわいく描けたから」 「どれどれって、背中っ!」 僕から右、廊下側からそんな女子の漫才が聞こえてくる。 対して左の窓際からは男子のよく分からない会話が聞こえてきた。 「カノンっておしとやかで、髪長くて黒いし、マンガのヒロインみたいだよな」 「えっ?おしとやか?」 「いつもベンキョーして頭も良いんだろーな」 「頭が良い…?」 「でも体育はまけないぜ、オレってサッカーならプロ並みだし」 「あー、そんなの、キョウイチくんなら楽勝っすよ。相手になるのジュンくらいじゃないっすか」 「ジュンの話はいい」 「すんません」 「てかどう考えても、主人公はオレだよな」 「はい?」 「この学校で言ったら、どうみてもオレがマンガの主人公だよな?」 「あー…そうっすねぇ」 ちなみにカノンは恐らく女子一番のバカだ、大多数からは察せられ、今更彼女の事をとやかく言うやつなんていない。 そんなカノンに、男子のバカことキョウイチは好意を抱いているらしい、心底どうでもいい覚える価値もない情報である。 僕はそんな事より机の中に意識が向いていた、机の中にあるもの、それは間違えて学校に持ってきてしまった、昨日母に貰ったあの「眼鏡」だった。
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