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まともに話をする暇もなく、強引に突き進むカノンを追いかけて部屋に入った僕達三人は、まずコンテストの説明が必要だと感じて互いにアイコンタクトを取り、その場に座るととりあえず話し合う態勢に入る。
何も考えていないカノンは僕達を見ると反射的に腰を下ろし、ニコニコと微笑みながらパンツを見せつけてくると、ミオがすかさずブロックして姿勢を変えさせた。
「ま、まずよ、コンテストって何すりゃいいんだ?」
「例えば制限時間とかルールとか…僕はクラフトのやり方も知らないけど…」
「オレも知らないぜ」
「制限時間はこの部屋を借りてる時間、自由に部屋を飾り付けて出る時にデータを送信、後は部屋内で撮った私達の集合写真も必要かな」
「な、なるほど…以外とカンタンだな…」
「テーマは?」
「テーマはかっこよくてかわいい」
「か、カッコカワイイ…??」
「シンカくんあそびかたおしえてあげるー」
「えっ」
「私が教えるからカノンちゃんは先に作ってて」
「はーい」
「オレは?」
とにかくコンテストのルールは把握できた、部屋をカッコカワイイ風に完成させて、最後に証拠として四人が写った写真を撮影すればいい。
ルールに関しては難しいことは何一つないだろう、難しいのは「カッコカワイイという難解なお題」であり、それを制限時間内というのもなかなかきつそうだ。
早速僕はミオと一緒に部屋の角に行くと、彼女から一通りの手ほどきを受ける、手を手刀の形にして、ゲーム上に出現させたロープを指定の長さに切って、グルグルと指で撫でて接着剤をつけてから、目の前の壁に貼り付ける作業。
これを駆使して新しい何かを造り出すのがクラフトというやつであり、ミオはすぐ隣でどういう手の形にするとか指示をささやきながら、僕の手に手を重ねて優しく誘導していた、それはまるであの幼い頃のようである。
「ねえねえみてみてキョウイチくん」
「な、なんだいカノンちゃん…」
「ミオちゃん顔まっかっか」
「え?あっ…は、ハハ…ハ…やべっバレた!」
「あんた達は先に作ってなさい!」
「はーい」
「だからオレ…」
とりあえずやり方を理解し、その急に震え始める手の指導が無くてもできるようになった、クラフトとはとても単純で簡単な操作で、それでいて奥が深そうなゲームなのだ。
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