君は誰よりも

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どうやら眼鏡キャラの彼女にはそれがとても気になるようで、彼女はまるで貴重な壺を見つけたコレクターのように、食い入るように穴が開きそうなくらい見つめていた。 その目は普通ではなく、驚きと好奇心と恐怖が混じり合ってグルグルと瞳の奥で渦巻いている、むしろその姿を見ているこっちが怖くなるくらいだ。 「…何って、エンバーディーだけど?」 「うん、そうなんだけど…そうなんだけど…この前のカタログには載ってない機種で…」 「…委員長?」 「はっ!何でもないの!何でもないから!ね!?」 絶対に何でもない訳がない、顔を真っ赤にしながら驚いているくせに、僕のランドセルにそれを戻す手は酷く冷静で慎重である。 まるで割れ物を扱うかのように優しく触れているその手を見るに、十中八九レアなものに違いないだろう、体は口よりも遥かに正直なのだ。 「私違うから!全然興味なんて無いから!何にも知らないし!何にもおかしくないし!」 「全体的に丸みを帯びたGシリーズで駆動部分が最新型なのに、テンプルが新型の組み合わせ式じゃない旧型のハイスペック版に近い見た目で見たことがない機種だなんて、私全然思ってないから!」 「そういうことでお願いだからこの件は絶対に秘密にしてー!」 案外ドジなのか、それとも自分に嘘が吐けないのか、彼女はあらかた思っている事を早口で語ると、恥ずかしそうに両手で顔を隠しながら、素早い動きで教室から出ていく。 僕が秘密を口外しないと約束する前に逃げてしまったが大丈夫なのだろうか、まあ口外するつもりはないし言う相手もいないのだが、意外と色々抜けている人である。 「帰ろう…」 彼女に逆らえる人間が一人増えてしまった、そして僕のエンバーディーは想像よりもずっとレアものだった、恐らく懸賞用の限定仕様か何かだろう。 大方、余ったパーツを組み上げて作った寄せ集めに違いない、この時の僕はエンバーディーについて深くは考えてなかった。 これが本当は何なのか、どんな思惑があって僕の手に渡ったものであるのかなんて、考えすらしなかったのだ。
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