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「そうか。安西さんは、優しいなぁ」
そう。彼は最初口の悪い上司だったけれど、根は優しい男だった。
「ママから離れるの寂しいよなぁ……」
「そうね。でもまぁ、慣れてもらわないと。そのうち慣れるんだろうけどさ」
ちなみに今日の班長、山下班長のお子さんは既に高校生だけど、保育園に行っている頃は、最初、一年泣いてしまったそうだ。
奥さんも警察官だった。
その日は特に大きな事件もなく、一日だった。
が、しかし、事は十五時に起こった。
「おい、安西、須原舞覚えてるか?」
山下班長は、所轄からかかってきた電話を受けながら、私に問う。
「あぁ、美少女の名門女子高生ね」
学校をさぼろうとしていた、あの女の子。
「悪いが、今から堀井総合病院に行ってくれ。残業を命じる。旦那が子供を見てくれてるんだろ? 旦那にも言っておくから」
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