7/13
前へ
/182ページ
次へ
「あー、やっぱ、娘さんなんだ。娘さんをかくまってるんですか。これ以上、甘やかしてどうするんですか」  谷田部刑事はややきつめの口調で、静かに告げた。 「お嬢さん、罪をかぶったままでいいんですか?」  今度は私が告げる。どうか目を覚ましてほしい。どうか……。  それが本当の父の愛ではないから。本当の父ならば、罪を償いさなさい。そういうのが、親だ。 「私もまだ、幼いですが息子がおります」  マスターの視線がこちらへ向いた。今なら、落とせるか。 「息子が、同じことをしたら、私は母として叱り、罪を償えと教えます。それが、親の愛ではないでしょうか」  マスターは静かに、私達に珈琲を置く。ハワイアンコーヒーの香り。ほんのり苦くてどこか、フルーティ。
/182ページ

最初のコメントを投稿しよう!

596人が本棚に入れています
本棚に追加