四 新年御前試合

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四 新年御前試合

 花村雄太は実家の野原家で、兄の雄一郎に木刀を手合わせしてもらっていた。  雪をよけ、ぬかるみに砂をまいてならした場所で、兄弟は太刀技を出しあって打ち合った。 「組ごとの試合では順調に勝ち抜いてきたというわけだな」  上段からの打ち込みをかわし、籠手を放った雄一郎が言う。 「強いのはやはり馬廻り組の兵藤五平と郡代番頭の村山源之進。そしておまえも勝ち抜いてきたことは、うれしいぞ」 「おれもここまで来れるとは思ってもみませんでした」  小正月に行われる御前試合にむけて、選抜の試合があった。選抜はそれぞれの組み屋敷や道場で行われていた。  城内にて藩主が観覧するのは、上位の十人だった。その中には雄太もはいっている。 「ところで、新妻の佐奈どのとはうまくいっているのか」 「それは、まあ……」  打ち込みが終わると、汗をかいた体に冷たい空気が気持ちよかった。手ぬぐいで汗をぬぐってから、着物をととのえた。縁側に腰掛ける。
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