1、仮面の下で

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――プシュッ―― 「ぷはぁー…ふぅ。」 ソファーに座ると、買ってきた缶ビールを開け、勢いよく流し込む。 冷たく喉越しのいい液体が、疲れた身体に染み込んだ。 そして、テレビを付けるとぼーっと眺める。広い空間にただ一人、大して面白くない番組を見つめるだけ。 これが俺の日常。妻や息子はいるが、ここ数年、夫婦らしい会話はない。 妻は、俺が帰ってくる時間になると、二階に上がってしまう。まるで俺を避けるように。 息子も、そんな母親を見ているせいか、俺と話すことはなくなった。 いつの間にか、家族にとって俺は給料を運ぶだけの存在になってしまった。 「………」 ぼんやりした頭の中で、今日、彼女に言われた言葉が甦る。 『店長の言っていることはただの自己満足です!』 (…まさか、20も離れた娘さんに、指摘されるとはなぁ。参っちゃったよ。) 言われてみれば、確かにそうだったかもしれない。相手の事情なんか考えもしないで、いいことを言おうとしていただけの自己満足。 (きっと、俺のこういうところが妻にも愛想をつかされたんだろうなぁ。うん。明日から、しっかりあの子と向き合っていこう。) そう、決意しながら、俺は残りのビールを一気に飲み干した。
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