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「藤塚さんっ!!大丈夫?」
その時、ドア越しに声が聞こえ我に返る。
私は、慌て扉を開けるとそこには心配そうな顔をしているチーフの姿があった。
私を見るなり、一層表情を曇らせる。
「ちょっ…めちゃくちゃ顔色悪いじゃん!今日はもう帰りな。」
「は…い。すいません…。」
さすがに今は笑顔で接する余裕を持てず、力なく答える。
「あ、でも藤塚さん電車だったよね?いまの状態じゃ駅まで歩かせるの危険だし、でももうすぐ開店だし…。あ、そうだ、店長に送ってもら…」
「っ…!!いえ…大丈夫ですっ…タクシーで…帰るのでっ…!!」
「そう?気をつけて帰るんだよ…。店長にはあたしから言っておくからね。」
「ありがとう…ございます。本当に…すいません…。」
全力で阻止する私の圧に負けたチーフは、まだ心配そうな顔で私を見送る。
こんな弱っている私を見たら店長はほおっておけないだろう。その優しさに触れるのは、今は辛かったから。
それから私は、必死で身体を動かし荷物を取り、着替えると何とかタクシーを広い、家に着くことが出来た。
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