151人が本棚に入れています
本棚に追加
あの時の表情は今でも忘れられない。憎しみに満ちた嫉妬の顔。
子供とはいえ、女なのだ。
私はその日、友達を一度に失った。
それからの学校生活は地獄だった。
クラスが変わったら今度こそ失敗しないようにと意気込んだのだが、「藤塚美里亜と仲良くすると自分の好きな人が奪われる」という噂が広まり、誰も私に近づかなかった。
最初は男子から告白されたり話しかけられていたのだが、私が全て断っていると「無愛想な女」のイメージがつき、やがて敬遠されるようになった。
誰とも言葉を交わさず、孤立する毎日。
そんな日々でも、僅かな希望があった。それは、私の家族だった。
あの頃はまだみんな仲良しで、休みの日は必ず出掛けていた。
学校でのことは言えなかったが、私には家族がいたから頑張れた。
帰ったらママの温かいご飯が待ってる。パパが仕事帰りにお菓子とか買ってきてくれる。
次の休みはどこへ行こうか。そんな事を考えながら過ごしていたら、あっという間に卒業になっていた。
結局あの子達とは一言も交わさず終わった。
全部自分が悪いんだ。誤解をさせてしまったから。
高校では、もっと気を遣って今度こそ友達を作ろう。
そう意気込んで、誰も同じ中学の子がいない場所を選んだ。
全く新しい場所でならやり直せると思ったから。
その意識が正解だったのか、すぐに友達が出来た。
高校は中学よりも広く、また既に他校に彼氏がいる子も多いから変な噂にはならなかった。
もちろん言い寄ってくる男子はいっぱいいたが、彼氏持ちが多い為誰も嫉妬してこなくて、むしろ「美里亜はもてもてだねぇー(笑)」とからかうネタになるだけだった。
最初のコメントを投稿しよう!