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「……やっぱ無理だわ。別れようぜ。」
行為を終えたあと、彼から出た一言はそれだけだった。
「お前、めちゃくちゃ可愛いから付き合ったけど、全然喋らなくてつまらねぇし、せめて身体だけでも相性いいかと思ったら処女だったしよ。めんどくせぇから別れるわ。服来たら出てけよ。」
「っ……」
ーー話せないのは、好きな人といるから緊張していたんだよ?ーー
そう、言いたくても言葉が喉に引っ掛かって、うまく出てこなかった。
何も言えず、身なりを整えると呆然と部屋を出ていく。
まだ、思考が追い付かないまま歩き、気が付いたら自分の部屋に着いていた。
「っ…うっ…うぅっ…」
ようやく状況を理解し、溜まっていた物が溢れてくる。
私……強姦されたんだ。しかも好きな人に。
汚れちゃった。
恐怖とおぞましさに身体中が蝕まれ、無我夢中でシャワーを浴び、全身を擦る。
それでも、事実は消えないのだと気づかずに。
その後、私はしばらく学校を休んだ。学校に行こうとするとあの日の出来事が蘇り、家から出ることができなくなったのだ。
友達から心配のメールが沢山来たが、何も話せない。事実を知ったら、きっと私から離れていってしまう。中学の時みたいに。
昔の事がトラウマになった私は、友達を心から信じることはできなくなっていた。
そんな私を支えてくれていたのは、やはり両親だった。
両親は不登校の私に何も聞くことはせず、「無理していくことはないからね」とただ、優しくしてくれた。
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