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気がついたら、家を飛び出していた。
無我夢中に走って走って、走り回って。
「っはぁっ…はあっ…何でっ…何でこんな事にっ…」
身体中の酸素を使い切った時、ようやく足を止め、その場に崩れ落ちる。
そして、忘れかけていた母親の言葉が蘇り、大粒の涙が溢れ落ちる。
「私はただっ…また前みたいにみんなで仲良くしたかったっ…だけなのにぃぃぃっ…何でいつも失敗…しちゃうの…」
『あんたおかしいわ。』
思い出した言葉が、心を深く抉っていく。私は…おかしかったんだ。
私がおかしいからみんな変わっていくんだ。友達も、家族も。
みんないなくなっちゃう。私のせいだ。私がいなければ良かった。
全部私が悪い。産まれたくなんかなかった。
ごめんなさい。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんね
「……違う。…私じゃ…ない。……私が不幸になっているのは…男が…いるからだ…。」
中学の頃、友達が離れたのも、みんなの好きな男達が一斉に私に告白してきたから。
あいつらが余計なことをしなければ、孤独になることもなかったのに。
私の家族が壊れたのも父親が浮気したのが原因。そして、顔も見たこともない男が母親に近づいて、心を奪ったから母親は変わってしまった。
あんなに仲良しだったのに。どこの誰かも知らない奴が、母親を奪った。
私は、大切にとっていた、大好きな人との幸せになるはずの初体験を最低な男に奪われた。
ーーー男は…私の大切なものをみんな奪っていくんだーーー
「っ…男なんかっ…嫌い!!大っ嫌い!!!死んじゃえ…みんなっ…死んじゃえ…。」
その時、私は決めたんだ。
「お、お嬢ちゃん…どうしたの?具合悪いの?おじさんが、休める場所に連れていこうか?」
「……うん。あのね…お金もないの。お小遣いちょうだい…?」
男から大切なものを奪われた私が…
今度は奪う側に回ってやるとーー
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