どうして貴方なんだろう

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(あーあ。こんな姿、店長には見られたくなかったな。親に否定されてる姿なんて。カッコ悪すぎじゃん。) せっかく自分の中で結論が出たのに。この女に邪魔された。 やっぱり無理だ。全部終わらせよう。今度こそ、死のう。 もともと店長に救われなければ死んでいた。私は、寿命を少しだけ先延ばしにされただけ。 何にもなくなった私は、もう生きてる意味がない。 この世界に未練は存在しない。 俯いて、布団がしわくちゃになるまで握り締める。 「………それ、本気で言っているのでしょうか……。」 ふいに聞こえた、か細い問いかけに顔を再び上げる。 店長だった。よほど勇気を出したのか、視線を泳がせては俯いて返答を待っている。 「店長…。」 「は?何急に…」 あからさまに刺々しい返答で店長を威圧する母親。 「だから…本気で、自分の子供にそんなこと言っているのでしょうかと聞いているんです。」 しかし、店長の目は怯んでいなかった。さっきの弱々しい声とは別人のようにはっきりと、問いかける。 何かが吹っ切れた様にまっすぐと目の前に立ちはだかる女性を睨み付ける。 「何よ。あんたには関係ないでしょうが。」 「関係あります。彼女は俺の部下です。部下が目の前で実の家族に否定されるのを見殺しには出来ません。そんなの、上司のする事ではありません。」 「なっ…」 唖然とする母親。恐らく、この女は第一印象で店長のことを舐めていたのだろう。 情けなくて弱い存在だと決めつけていたからいざ、強気で反論されて困惑しているのだ。 しかしそんな分析はどうでもよくなるくらい、私の目頭は熱くなっていた。 (何で…私なんか庇うの…?) この母親のいうことは間違っていない。私がバカだっただけなんだ。 それなのに、私を守ろうと間に立ち、母親を睨み付ける店長は眩しくて、見ていられなかった。 「…差し出がましくて申し訳ありません。ですが、先程からのやり取り。同じ親として黙っていられません。産まなきゃよかった、なんて。親が一番言ってはいけない言葉ですよ。どんな時でも味方でいる。…それが本来あるべき、親の姿でしょうが!!!あなたに親になる資格はない!!」
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