*天才少年

3/6
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/190ページ
   およそ一時間の授業を終え、アリシアは自分の部屋に戻った。 「はあ~……」  溜息を吐きながらベッドに体を投げる。ベリルはあれからすぐに別の講義を受けていたが、彼女には初めての事で精神的に疲れていた。 「あんな子ども、私に教えられるのかな」  不安げにうなだれる。  一時間ほどの間に少年が見せた表情はほとんど無く、ベルハース教授の言葉が多少なりとも解った気がした。  小さく笑う程度で、怒る事も泣く事も無い。ただ淡々とアリシアの授業を受けているだけだ。  でも、あの子には感情が無い訳じゃないのもなんとなく解る。普通の子どものように出来ないだけなんだ。  どうすればあの子が喜ぶような事が出来るのだろう。私は何をすればいいのだろう。  アリシアはそればかりを考えて静かに眠りについた。  
/190ページ

最初のコメントを投稿しよう!