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次いで湊がコンビニの袋から取り出したのは、ゼリー飲料。
「食べれそう?」
とわが頷くとキャップをあけて渡してくれて、受け取ったそれをとわは口に運ぶ。隣に座った湊の手に肩を抱き寄せられて、とわはこてっと湊の肩に頭を預けた。触れた湊の首筋は少し冷たい。否、湊の体温を冷たいと感じるほどに、とわ自身が熱い。
買ってきたばかりのゼリー飲料は冷たくて、火照っていた身体を内側から冷やしてくれるみたいだった。だけど、空腹感はあったはずなのに、もっと食べたいとは思えなくて、1口口にした後そのまま手が止まった。
ピピッと鳴った体温計のアラームに液晶の小窓を見れば、38.8℃。隣から覗き込んでいた湊が、「やば。すっげぇ熱あんじゃん」と苦笑いを零す。
……そりゃあ倒れるよ。と自分でも納得しつつ、倒れたのが湊に会ってからでよかったと少し安心もする。別にそれまで一緒にいた武田を信用してないとかそういう訳では無いのだけど、やっぱり湊の安心感は全く違う。
「起きた時は平気だったの?」
「うん……」
ある意味では平気じゃなかったけど。
確かに朝から頬は火照っていたし、母にも武田にも顔が赤いと言われたけれど、それを“ 熱があるんじゃないの?”という意味合いだと思ってなかった。頭痛も目眩も自覚したのは電車の中でだったから。
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