全部、きみだけ

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 千尋達には、またイチャイチャしてると言われるし、確かに傍目から見たらそうかもしれないけれど、とわの感覚的にはとっても大きな犬にじゃれ付かれてるような感じだったのだ。なのに、夢を思い出したらまた一気に頬が火照る。 「……湊のばか」  もちろん湊は犬じゃないし、付き合っているわけだし、付き合うのがキス程度で終わらないことだって分かってるし、湊がその先を望んでいることも分かってるつもりだ。だけど、初めてだからどうしたらいいのかも分からないし、何をするのか考えるだけで恥ずかしい。  湊……、ガッカリしないかな。  鏡を見れば、映るのはサックスのシャツワンピースにレギンスという部屋着姿の自分。しかも、遥に指摘された通り頬が紅潮していた。  スラリと手足が長くて大人っぽくて、私服で会ったら大学生に見えそうな千尋や美久とは全然違う。どちらかと言えばなんて言葉が必要無いほど……つまり明らかに子どもっぽいし、お世辞にも胸もあるとは言い難い。普段は制服を着ているから高校生に見えるだけなんじゃないかと心配になる。  ……湊、ロリコン?  一瞬自分で考えておいて、流石にそれはもの凄くヤダ、と否定する。そもそも同い年なんだから、そういう話じゃないはずだ。絶対。 「馬鹿な事考えてないで着替えよ……」
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