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「や……、だめ。風邪うつっちゃうよ」
「ん? へーきでしょ。馬鹿は風邪ひかないって言うし」
余裕、と笑った湊にとわが返す。
「夏風邪は馬鹿がひくんだよ」
「ふぅん……そう。わかった。じゃあ、俺天才だから夏風邪ひかない」
え? なにそれ。 と、とわがぱちくりと瞬きしたその隙に、とわの唇には湊のそれが重ねられた。
そして、目を丸くしたとわに、湊はさらに一言告げる。
「1回したら、2回も3回も変わんないよね?」
フッと笑うや否や、湊はもう一度とわの唇を塞ぐと、今度は逃がさないと言うかのようにとわの火照った両の頬をしっかりと手で包み込む。そして、とわの唇を割って舌を侵入させると、あっさりととわのそれを絡めとる。とわの熱い吐息も全て飲み込んで、微かに濡れた音を立ててキスを終えた湊は、潤んだとわの瞳を覗き込んだ。
「とわの口ん中、あっつい」
そう言って間近に笑うと、もう一度唇を塞いでくるから、とわは慌てて湊の胸を手で押し返した。
「だから……うつっちゃうからだめ」
「じゃあ、これで最後ね?」
最後の1回は、触れるだけ。でも、1番長く触れていたかもしれない。とわの唇を解放して、湊は優しくとわの髪を撫でると、額にちゅっとキスをする。
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